皆さんごきげんよう。現役マンガ編集者の爆進堂です。
今、ちょっとした落語ブームなの気づいてましたか?
東西合わせて1000人弱の落語家さんがいるそうです。東西で半々ぐらいです。戦後、上方の落語家は絶滅寸前で十数人といった所から復興したのを考えると頑張ったなぁと思いますね。
「マンガの勉強をしたいのに落語の話なんかすんな!」と言わずに聞いてってください。
落語を聴くと【物語の構造】が学べる
、と言うお話しです。
落語と『ドラえもん』
マンガの神様・手塚治虫先生以前の第一人者と言えば、『のらくろ』を描いた田河水泡(たがわすいほう)先生が有名です。
田河水泡先生のもう一つの顔は落語作家。マンガ家になる前は新作落語ネタを書いて、まだ大日本雄弁会講談社と名乗っていた頃の講談社へ持ち込んで、雑誌「面白倶楽部」に買ってもらっていたそうです。 今でも「猫と金魚」という落語が江戸落語として残ってますから、気になる方は聴いてみてください。
もう一人、落語好きのレジェンド・マンガ家が藤子・F・不二雄先生です。
落語の滑稽話の代表に【ご隠居さんと与太郎】という類型があります。上方落語だと与太郎は喜六と名前を変えますが、要するに【モノを知らないちょっと抜けたな青年】です。
ご隠居さんは与太郎の行動の突拍子もなさに説教をして、戒めのための知恵を授けます。与太郎はあやふやなままにその知恵を使うので、ご近所さんに迷惑をかけてしまうという類型です。
もう皆さんはお気づきでしょうが、この類型を散々擦り倒した作品が『ドラえもん』です。
ご隠居=ドラえもん
与太郎=のび太
知恵=便利な未来の道具
と見ればその関係性がはっきりします。
私は『ドラえもん』の方を落語より早く体験しましたが、落語を聴く様になって話の構造が同じだと気づいた時には改めて感心しましたね。
研究書を読む前に
「シド・フィールドの脚本術」や「シナリオ虎の巻」なんかを読むのと平行に、落語を聴く事をお勧めします。電車通勤や作業中、睡眠前など「ながら」で聴けますのでお手軽なのがグッド。長くても1席20分強で終わります。
「一眼国」「地獄八景亡者戯」→異世界転生モノ
「蛇含草」「死神」→ホラー
と言った具合に人情噺や滑稽噺以外にジャンルも多彩です。
噺家で聴き比べるとそれぞれにアレンジを加えているのも発見出来ますし、江戸~明治ぐらいの世情も知る事が出来ます。
何より人間の愚かさにホロリとくる人情噺は、時代を超えても人の感情に大きな違いは無いという事が分かります。
物語の類型を採取するためだけでは寂しいですが、煮詰まったときに活路を落語に求めるのは有効な手段です。
お笑いモンスターとして芸能界に君臨している明石家さんま師匠も元々は落語家ですね。
上方落語好きの私が好きなのは笑福亭松之助師匠、笑福亭鶴瓶師匠、桂米朝師匠、桂枝雀師匠、桂二葉さんです。このうち太字の3人は鬼籍に入られましたが、残り2人はご存命なので機会があれば聴いてみてください。
ほな、またね。